31 Mar 2015

Valero Texas Open での道具の話題 // DG AMT が2週連続優勝,スピースのドライビングアイアンなど // PGA Tour

Valero Texas Open での道具の話題をチラホラと。



PGA Tour "Roundup: Same model shaft used in back-to-back wins"

http://www.pgatour.com/equipmentreport/2015/03/29/equipment-roundup-valero-texas-open.html

(拙訳&抄訳)

トゥルーテンパーの DG AMT シャフトが2週連続優勝


True Temper Dynamic Gold AMT (Ascending Mass Technology) アイアンシャフトが,2週連続で優勝。Arnold Palmer Invitational でのマット・エブリーに続いて,今週はジミー・ウォーカーが使用した。

ウォーカーは,オフウィークの期間に Titleist 714 MB アイアンに Dynamic Gold AMT X100 を挿してテストし,試合で使うことを決めた。

True Temper のツアーレップ Paul Loegering によると,ウォーカーはシャフトの全体の感触の違いが気に入り,打ち出しとスピンのコントロールがより出来ると判断。さらに,ロングアイアンでは高弾道が得られやすく,ショートアイアンでは必要に応じて低い球が打てるとも言っている。

True Temper の AMT は Northern Trust Open でデビューし,番手で重量が変わるのが特徴。3番アイアンはもっとも軽く,PWまで1番手ごとに3グラムずつ重量が増える。

ローンチ条件はセットを通じてほぼ同じだが,ロングアイアンだけは少しだけ高い弾道が得られる。


ミケルソンが新たにウェッジを追加


Callaway の Mack Daddy 2 PM-Grind が Valero Texas Open でツアーにデビューし,フィル・ミケルソンはその2本(54度と56度,KBS Tour V 125 シャフト)をバッグに入れた。

ミケルソンはこのウェッジの開発に関与,トゥが高いのが特徴。

「プレーヤーはこれを気に入っている」と語るのは,Callaway の チーフクラブデザイナー Roger Cleveland。「これはこれまで見た中でロブウェッジの最高の技術的な進化だと語るプレーヤーもいる」

Jason Korak (60度)と Pat Perez (60度)もまた Callaway の PM-Grind ウェッジをバッグに入れた。


マスターズに向けたウェッジの調整


オーガスタナショナルの固いターフと固いグリーンは,しばしばプレーヤーにウェッジの調整を強いる。ボールはグリーンに止まらないので,プレーヤーはバウンスの小さいウェッジを選んで,リーディングエッジがしっかりボールの下に入るようにする。

多くのプレーヤーは,溝がフレッシュな新しいウェッジをバッグに入れて,固いグリーンに対処しようとする。マスターズを2週間後に控えて,プレーヤーは異なるロフトごグラインドのウェッジをリクエストし,今年最初のメジャーに向けてセッティングにを完璧にしようとしている。

ダスティン・ジョンソンは今週,テーラーメイドへのウェッジのリクエストを始めた。47度,52度,56度で,それぞれ Tour Grind と ATV モデルを試している。ダスティンはまた60度のウェッジもふたつリクエストした。

TaylorMade のツアーレップによれば,すべてのオプションを手にすることを望んでおり,オーガスタナショナルのコースコンディションに応じて使い分けるつもりでいる。


スピースがドライビングアイアンを使用


スピースは通常,ロフト20.5度の Titleist 915Hd ハイブリッドをバッグに入れているが,Valero Texas Open では,それを Titleist 712U ドライビングアイアンに変えて,強風のコンディションとタイトなレイアウトに対処しようとした。

この712Uは,1025鍛鉄鋳造のボディーに455スチールインサートの中空構造。重心位置は深く慣性モーメントは高い。これで高い安定性と操作性を両立させている。

スピースは過去数シーズン,2013年の全英オープンを含めて,コースに応じてクラブセッティングを変えている。

イギリスゴルフ #39 // Finchley Golf Club // 同じコースでラウンドする楽しさ

ロンドンに来てから「同じコースで何度もプレーする」のが増えていますが,Finchley Golf Club もそのひとつ。

http://www.finchleygolfclub.com/

ここの印象的なホールのひとつに,7番パー3があります。



バックティー(白)からは210ヤード,レギュラーティー(黄)から198ヤー,レディースティー(赤)からも171ヤードドある,ロングパー3。グリーンは右奥に伸びていて,右手前をバンカーがガード。左手前はグリーンからちょっと離れたところにバンカーが待っています。ティーからの見た目は,この写真が近いイメージ。グリーンの傾斜は左から右。



ということで,パーを取るためには,フェードで攻めたいところであります。

前に24度のハイブリッドでティーショットしたときは,曲がりはばっちりだったけど距離が足りなかったので,今度は新しく買った21度のハイブリッドで攻めたら,狙い通りにグリーン右手前に乗せられて,しっかりパーが取れました。5ラウンド目にして,初めて。同じコースで何度もラウンドしていると,こういうかたちでスキルや道具や攻め方やらを試せるのが面白いですね。

何度か書いていますが,イギリスは長いパー3が多いので,パーを取るのも必死。ロングアイアンへの憧れはすっかりなくなり,いかに今ある技量のまま道具のチカラをかりつつスコアを縮められるか,ということを考えてゴルフを楽しんでおります。


Mon 30 March 2015

30 Mar 2015

WITB // ジミー・ウォーカーのクラブセッティング // 2015年3月28日現在 // Valero Texas Open

Valero Texas Open を制したジミー・ウォーカー。今シーズン,PGAツアーでは最初の複数大会を優勝したことになりました。



2015年3月28日現在 // Valero Texas Open
  • ドライバー // Titleist 915 D2 / ロフト 9.5度 / シャフトAldila Rogue TX / 長さ 44.5インチ
  • 3W // Titleist 915F / ロフト 15度 / シャフト Aldila Rogue TX
  • 5W // Titleist 915F / ロフト 18度 / シャフト Fujikura Motore Speeder VC 8.2 TS X
  • アイアン // Titleist 714 MB (3-9) / シャフト True Temper Dynamic Gold AMT X100
  • ウェッジ // Titleist Vokey SM4 (48-10 bent to 47 degrees),Titleist Vokey SM5 (54-11, 60-04) / シャフト True Temper Dynamic Gold Tour Issue X100
  • パター // Scotty Cameron Newport 2 303 GSS
  • ボール // Titleist Pro V1x

今年1月のセッティングからの変化としては,アイアンのシャフトが話題の(勝手に話題にしてますが)DG AMT に変わったことで,たぶんそれでロングアイアンが振りやすくなったおかげで,3番アイアンが中空の712Uだったものが714MBになりました。

ドライバーと3番ウッドのシャフトは,引き続き ALDILA ROGUE です。この ROGUE と AMT という組み合わせは,ますますジミー・ウォーカーを好きにさせますね……。

ソース:
http://www.golfwrx.com/104872/jimmy-walker-witb/

関連リンク:
WITB // ジミー・ウォーカーのクラブセッティング // 2015年1月18日現在 // Sony Open in Hawaii
WITB // ジミー・ウォーカーのクラブセッティング // 2014年10月19日現在 // Shriners Hospitals for Children
ジミー・ウォーカーのスイングの分析 // Golf Digest

おまけ。Valero Texas Open でのオンコース・インタビューでのハイライト。お父さんのキャプをうばってはかぶり,お父さんが取り返してかぶりなおしてもまたうばってはかぶり,を繰り返すウォーカー親子。(ソース


29 Mar 2015

日本のゴルファーの約10パーセントがルール適合外品を使っている // Golf Digest

前に「日本ゴルフ用品協会(JGGA)のルール適合外品の流通に関する対応が話題に」ってのがありましたが,日本のゴルファーの8.7パーセントがルール適合外の道具を使っている,という話です。そして,韓国ではルール適合外品への需要がさらに高いのだとか。

Golf Digest "Nearly 10 percent of Japanese golfers are playing with non-conforming equipment"

http://www.golfdigest.com/blogs/the-loop/2015/03/nearly-10-percent-of-japanese.html

先ごろのJGGAのリリースについては,
JGGAは、このプレスリリースによって、アマチュアプレーヤーが適合外品を使用することを推奨しているものではありません。宣伝・販売されている適合外品の数が年々増加している日本市場を現実として認識した上で、適合外品を販売しているメーカーがその販売の際に顧客に対して、明確な表示と適切な説明を提供するように、JGGAがリーダーシップを示して主導する必要があると強く感じました。これが今回のプレスリリースをこの時期に発表致しました理由です。
http://www.jgga.or.jp/jgga/info2015032001/
という発表がJGGAから3月20日に出ています。

Golf Digest 誌が JGGA にメールで質問をしてから回答をうけとるまでに6週間かかったそうですが,その回答でJGGAは,「ルール適合外品はゴルフに対する興味を高めることに役立つ」という考えを強調したとか。JGGAいわく,
"There is a clear desire or preference among amateur golfers in general for more distance from a driver shot or more back spin from an iron shot that makes a ball stop or come back on a green as professional players do. JGGA believes that it will contribute in the healthy growth and revitalization of the Japanese golf market to create an environment in which each golfer may choose and use golf equipment that matches his or her unique goal and needs."

「一般的に,アマチュアゴルファーのあいだでは,ドライバーショットでのさらなる飛距離やプロなみのバックスピンがかかるアイアンショットに対する,明らかな欲求や好みがある。JGGAは,これが日本のゴルフマーケットの健全な成長と再活性化につながり,それぞれのゴルファーが自らの目的やニーズに応じた道具を選べて使える状況を生むと確信している。」
JGGAはR&Aに対してルール適合外品をレギュレートするよう提案したものの,「R&Aはわれわれの提案を受理しなかった」とか。

韓国の状況は分かりませんが,日本の場合は,ゴルファーの高年齢化→もともと飛距離がないところにさらに飛距離が落ちる→それでも相変わらず白ティからまわろうとする→飛ぶクラブ,ってことなんでしょうか。高齢のゴルファーじゃなくても「バックティー信仰」,女性ゴルファーに対する「白ティの強要」とかありますしねぇ。自分に合ったティーから楽しくラウンドしましょうよ,と思います。

芝の練習場での正しいディボットの取り方 // Golf Digest

たしかに初めて宮崎のフェニックスで芝の練習場から打ったとき,興奮したのと勝手が分からなくて下の写真の右のようにディボットを取り散らかしました。

芝を最大限に活かすために,直前のディボット後のすぐ後ろに球を置いて打ちましょう,ということです。



Golf Digest "Public Service Announcement: This is how you should make your divots on the driving range"

http://www.golfdigest.com/blogs/the-loop/2015/03/public-service-announcement-th.html

イギリスゴルフ #38 // Finchley Golf Club // ひとり担ぎラウンド,クラブは10本

ほんとは日曜日にゴルフ仲間とラウンドしようってことになっていたんですが,雨の予報だったのでそれはキャンセルして,急遽土曜日にひとりでラウンドしました。15時ティーオフで,18時半の日没には間に合うだろうと思い,果たしてラウンド時間はちょうど3時間でしっかり18ホールラウンドできました。

Finchley Golf Club でラウンドするのはたぶん5回目ぐらいだと思いますが,ひとりでラウンドするのは初めて。少し前まではコースの改装が行なわれていましたが,それもすっかり終わり,グリーンもティーもいつもの状態になりました。10番だけはティー付近でなにか工事が行なわれていたのでティーが前に出て,ただでさえ短いパー4(240ヤードぐらい)がさらに短く(170ヤード)なっていましたが。プレーしたことのないコースに行くのも面白いですが,慣れ親しんだコースを何度もプレーするのも別の面白さがありますね。

ここのところブログの記事をいっぱい書いていたせいか,自分で自分の情報に振り回されて,スイングを見失っていたのですが,今日の後半は少しだけ感覚がつかめてきました。最近書いた記事の中では,「ドライバーはナダルのバックハンドのイメージで」というやつと,「アタック・アングルを増やして飛距離を伸ばす」というやつが,非常に役に立っています。ドライバーは間違いなく弾道が高くなって,スピン量が減って,飛距離が伸びた。まだ軌道とフェースローテーションができずに右に行くことがありますが,それでも前に比べれば横の曲がり幅が減ったので,これは収穫。特にひとりでラウンドしているときにボールを探しやすくなりました。

一方で,「ボールを見ずにホールを見てパッティング」というやつはやらないことにしました。「ホールのかわりにブレークポイントを見ようかしら」とか微妙にいろいろ試したんですが,結局は視線が泳いで逆効果という……。微妙な距離のクラッチパットのときは特に,「カップインの音で聴く」ほどにボールの場所を最後まで見ています。

最近しみじみ思うんですが,結局コースに出たら,「やりたいこと」じゃなくて「やれること」をやるしかないんですよね。それでコースに挑んで,スコアを少しでも減らせるように一打一打に集中する,判断してコミットして実行して結果は受け入れる,その繰り返しなんだよな……と。

あと最近のプレーの傾向は,こないだ North Berwick のキャディに「スコティッシュゴルファーになりたいならグリーン周りは転がせ」と言われて以来,バンカー越えでない限りはウェッジでフワリはしないようになり,9番アイアンあたりでミスがミスに見えないショットをするようになりました。これは慣れてくると面白いですね。

最後に。今日はバッグに10本を入れての担ぎ&歩きでのラウンドでした。クラブは
  • ドライバー
  • 21度ハイブリッド
  • アイアン(5番からPW)
  • ウェッジ(52度)
  • パター
で,これぐらいの重さなら担ぎでも問題ないことが分かりました。ウェッジが52度しかないのは,こないだのラウンドで58度のSWをなくしたから!(コースに電話したけど何も見つかってないって言われた……。こういうときに日本が恋しくなります)


Sat 28 March 2015

28 Mar 2015

本 // Mark F. Smith "Golf Science: Optimum Performance from Tee to Green" // パフォーマンス向上のための科学的知見一覧

僕のような理屈好きにはうってつけの本です。このブログで書いているようなネタの宝庫と言ったらいいのか。

ゴルフの科学といえば,"The Physics of Golf" や "The Science of Golf" といった本もあって,それらは主にスイングとそこから放たれるショットにおける物理学的側面を解説しているのに対して,この "Golf Science: Optimum Performance from Tee to Green" は,そういったポイントのみならず,練習方法や最新のコーチング技術,フィジカルにいたるまで,より幅広い要素がゴルフのパフォーマンスに与える影響を,科学的に解説しています。下に各章と各項目のタイトルをすべて拙訳したので,それを眺めれば,この本がどのようなエリアをカバーしているのか分かると思います。

エディトリアルデザインがなかなか優れて,各項目がすべて1見開きで解説されており,全ページカラー,イラストやチャートが豊富。1項目1見開きという制約がある分,ものによっては文章量が少し物足りなく感じるところもありますが,逆にいえばそれぞれコンパクトに知見をまとめて分かりやすく紹介している手腕は見事と言えます。

編者の Dr. Mak F. Smith は,イギリスのリンカーン大学における主任講師をつとめるスポーツ科学者。共著者として,ドクターの肩書きをもつ研究者やプロコーチなどが名を連ねます。こういったあたりに欧米のスポーツ文化の広さと深さが垣間見えます。


Golf Science: Optimum Performance from Tee to Green

Univ of Chicago Pr (T)
売り上げランキング: 178,591

  • 第1章 心と体(mind and body)
    • フィジカルのフィットネスレベルはパフォーマンスに影響するか?
    • "Quiet eye" とは何か? パットのときはどこを見ればよいか?
    • 年齢を重ねるとパフォーマンスにどのような影響がおきるか?
    • パッティングのときは両足にどう荷重すればよいか?
    • ホールの大きさのイメージはパフォーマンスとどんな関係があるか?
    • "functionally connected"とは何か? なぜ体の可動性と安定性は大事か?
    • ショット前ルーティーンのとき脳内では何が起きているか?
    • スイング中は体のどの部分に負荷がかかり,どこを痛めやすいか?
    • 体内の水分量がメンタルとフィジカルのパフォーマンスに与える影響は?
    • パッティング時に息を吸うべきか吐くべきか?
  • 第2章 スイング(the swing)
    • クラブヘッドスピードを上げるために,体のどの部分をどのタイミングで同調させて動かせばよいか?
    • スイング中に頭は動かさない方がよいのか?
    • "Xファクター"とは何か? どれぐらいヒップとショルダーをターンさせるべきか?
    • スイング中にどの筋肉をどのタイミングで使っているのか?
    • ツアープロの動作の中でどこがアマチュアの動作と違うのか?
    • スイング中にどれぐらい足への荷重をシフトさせればいいのか?
    • 「タメ」は飛距離を伸ばすのか?
    • スイング中にグリップを握る力はどう変化するか?
    • 生体力学的な分析はスイングの再現性を向上させるか? 「スイングプレーン」はスイングの質を向上させるか?
    • 「完璧なスイング」は存在するか?
  • 第3章 道具(the equipment)
    • 最適なドライバーの長さはあるか? 長尺だと飛ぶのか?
    • クラブヘッドスピードごとの最大飛距離は?
    • 飛距離を伸ばすための打ち出し条件について
    • シャフトのキックポイント(調子)はパフォーマンスにどう影響するか?
    • 「反発係数」はどのように計算されるか?
    • クラブの打感とは何か? クラブのどの要素が打感に影響するのか?
    • クラブヘッドの重量配分はパフォーマンスにどう影響するか?
    • クラブヘッドの素材と製法はパフォーマンスにどう影響するか?
    • ミート率(smash factor)を向上させる方法と,番手別の最大値
    • クラブヘッド設計のどの要素が飛距離に影響を与えるか?
  • 第4章 環境(the environment)
    • 風が飛距離に影響を与える原理とその程度
    • 雨や湿度が飛距離に影響を与える原理とその程度
    • 気温が飛距離に影響を与える原理とその程度
    • 地形が風に与える影響
    • どんな要素がバンカーショットのスピン量に影響を与えるか?
    • ライの違いがどのようにボールのスピンに影響を与えるか?
    • どんな要素がボールのバウンドに影響を与えるか?
    • グリーンの芝と土壌はバックスピンに影響を与えるか?
    • どんな要素がグリーン上でのボールの転がりに影響を与えるか?
    • 高度と緯度はどれほど飛距離に影響を与えるか?
  • 第5章 コーチングと技術(coaching with technology)
    • 3Dのスイング分析はパフォーマンス向上に役立つか?
    • ボールの軌道のデータはアベレージゴルファーにも役立つか?
    • スマホのスイング分析アプリはスイング向上に役立つか?
    • スイング分析のためにどのような技術が用いられるか?
    • スイング分析技術はコーチングにどのような影響を与えるか?
    • 最先端のコーチング技術,生体的フィードバック
  • 第6章 練習プロセス(the practice process)
    • 練習量と練習方法がパフォーマンスの向上に与える影響
    • ウォームアップがパフォーマンスに与える影響
    • 「スイング改造」はどのようなプロセスを経るか?
    • 「練習の冪乗則」とは何か?
    • どのようなフィードバックがもっともパフォーマンスを向上させるか?
    • 「グリーンの読み」がパッティングパフォーマンスに与える影響
    • 最適なパッティングのボールスピードは?
    • 補助器具を使った練習はパフォーマンス向上に役立つか?
    • 最適な練習方法とは?
    • 音を使ったトレーニングはパフォーマンスを向上させるか?
  • 第7章 スコア(the score)
    • スコア向上にとって鍵になるスタッツは何か?
    • どの飛距離レンジがスコア向上のカギになるのか?
    • ショットタイプ(ドライブ,アプローチ,ショート,パット)ごとの目的は?
    • 「サンドセーブ」と「スクランブル」のスタッツが本当に意味するものは?
    • 「Driving Accuracy」のスタッツが本当に意味するものは?
    • パットのスタッツは全体のスコアにとってどれほど重要か?
  • コラム(道具)
    • シューズ
    • グローブ
    • アイアン
    • ボール
    • ウエッジ
    • ドライバー
    • パター

27 Mar 2015

ドライバーのスライスを直したいならナダルのバックハンドを真似しよう // GOLF.com

テニス好きのゴルファーであれば,このタイトルを読んだだけで「なるほどね」と思われると思いますが,老婆心ながら説明すると,ラファエル・ナダルは左利きのテニスプレーヤーで,バックハンドは両手で打ちます。ということは,ナダルにとってのバックハンドは,ちょうど右利きのゴルファーと同じかたちになるわけです。

面白いのは,ナダルはもともと右利きで,フォアハンドはこすりあげるスイングでトップスピンのスピン量が多めであるのに対して,バックハンドの方が(右手の押し込みも使って)フラットに近い球を打つんです。で,ボールに入る余裕がある場合,バックハンドは左足を踏み込んで(いわゆるクローズドスタンスで)打つ。で,フラットに近いといってもトップスピンはかけるので軌道としてはアッパーになる。これがちょうどドライバーでスライスではなくドローを打つためのイメージになるよ,というのを,このリンク先の動画は言っています。

GOLF.com "Fix Your Slice: The Nadal Backhand Drill"

http://www.golf.com/video/fix-your-slice-play-pros-jamie-mulligan-nadal-backhand-drill

ゴルフの前にテニスをやっていた僕にとっては,いちばんシンプルでありながらいちばんイメージしやすい教えでした。(ということは実際にティーに立ったときに思い出しやすいし,コースで実現しやすい)

ナダルのバックハンドを見たいという方は,↓これがちょうどいいのではないかと思います。視線はインパクト地点に残し,左足に体重を乗せ,軌道がアッパー,フェイスが返って右腕が伸びているのがよく分かります。


本 // 尾林弘太郎『ロジカルゴルフ 実戦ノート』日本経済新聞出版社

ロジカルゴルフ 実戦ノート-考えるラウンドしていますか? (日経プレミア)
尾林 弘太郎
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 21,180

  • 上手くなっていく「上達ゴルファー」は上級者の考え方を持ちます。その思考技術の基本をまとめたものが1作目の『ロジカルゴルフ スコアアップの方程式』です。そして,コースでプレーするときに実際に重要な「1打のためにするべきこと」を具体的にまとめたのが,この『ロジカルゴルフ 実戦ノート』です。
  • 「ゴルフが上手くない人」は自分ができることを判断できない人です。
  • ゴルフが上手い人はたくさんのことを知っている人ではありません。自分が知っている情報を「その場面で使える人」です。
  • 「上達ゴルファー」のクラブの選択基準は「ライが優先で距離が後」になります。
  • 「停滞ゴルファー」の(アドレスの)方法はセンターを向いてから左を向きます。すると,スイングするときに強い違和感を覚え,ミスにつながることが多くなります。ゴルファーは右を向くとスイングしやすく,左を向くとスイングしにくい感覚を持ちます。
  • ゴルフの重要な特徴は60点以上のショットをつなげることにあります。逆にいえば100点は必要ありません。だからこそ「上級ゴルファー」は時間をかけずに打つことができます。
  • ゴルファーがコントロールできることは,「原因」であって「結果」ではありません。
  • ゴルフとは身体能力20%と思考能力80%の不思議なスポーツ
  • 私のレッスン経験から,日本のジュニアゴルファーのトップレベルは,意味を理解していないのに上手い選手が多いことが特徴です。社会人ゴルファーは「理解していなくて上手くない」が80%以上です。
  • 練習場で1球勝負に強くなるためには,クラブを替えた1球目を大切にしてください。

イギリスゴルフ #37 // Woldingham Golf Club // 牧歌的な雰囲気,ロンドン南西のコース

クラブハウスは古い造りのまま。雰囲気がある。


ちょうど Greater London とその南西にあるカウンティーの Surrey との境目のあたりにはゴルフ場がいっぱいあって,これまでの The Addington とか Addington Court とか Horton Park とか Silvermere とか Farleigh とかでプレーしましたが,この Woldingham Golf Club もそのひとつ。

http://www.woldinghamgc.co.uk/

ウェブサイト上にある COURSE OVERVIEW では,自らをこう紹介しています
1996年に「Duke's Dene Golf Club」として開場。18ホール,パー71,6393ヤード。設計はアメリカ人の Bradford Benz。自然の地形を最大限に活かす。チョーク土壌の上にコースは築かれた。これがUSGA方式のグリーンと相まって,1年中のプレーが可能となった。

1番はおだやかなスタート,打ちおろしのティーショットになる。2番は印象的なパー3,グリーンまわりに戦略的に配されたバンカーに注意しよう。地形上は谷の底に配された4番と7番ホールは美しい。クラブハウス前に置かれた9番と18番のダブルグリーンは,観客の目を集める。10番ホールは完全に見直され,このコースでもっとも手強いパー4になった。最後はパー3,5,3,5,という変則的なフィニッシングホールズ。その中で高地にある17番ティーからの眺めは,ゴルファーの足を止めるだろう。Woldingham は,間違いなく Surrey でもっとも魅力的なコースのひとつだ。Woldingham Golf Club は,さまざまなレベルのゴルファーを受け入れる。レギュラーティーからは6,000ヤード弱,レッドティーからは5,300ヤード強い。
Farleigh もそうですが,Surrey に比較的新しく造られたゴルフ場は,グリーンを排水のよいUSGA方式にして,特に冬のコンディションを高めているようです。

「自然の地形を最大限に活かす」と書いてますが,これまでに行ったロンドンの他のコースと比べてちょっと違うなと思ったのは,フェアウェイの左右の傾斜がきついホールがいくつかあった点です。その傾斜を計算してティーショットの落とし所を考えないといけないのが面白い。7番の打ち上げパー3は,関東でいうとオークヒルズの4番パー3みたいな手強さ(打ち上げな上に距離がある)があると思います。

その一方で,8番のグリーンまわりみたいにエグい雰囲気のバンカーがちょいちょい作られていて,牧歌的な全体の光景にはそぐわないように感じました。

1番パー4。フェアウェイは左から右に傾斜

2番パー3,打ち下ろし

見事に目玉

そのバンカーからグリーンを見る

3番のグリーン

途中の景色

4番のグリーン手前。グリーン周りは狭い

7番パー3。177ヤードで打ち上げ。

8番パー4のグリーン近く

こんな地形。端のホールはフェアウェイが傾斜している

11番パー3。打ち下ろし



Mon 26 March 2015

26 Mar 2015

マスターズ ファッションチェック // ナイキ編(マキロイとタイガー) // Golf Digest

タイガーの場合は「プレーするならば」という注釈つきですが。

マキロイの方はおなじみのライムイエローが基調ですね。これにグリーンジャケットが合うかどうかは分かりません。



Golf Digest "Here's what Tiger Woods will wear* at the Masters (*if he plays in the Masters)"

http://www.golfdigest.com/blogs/the-loop/2015/03/tiger-woods-masters-scripting-nike-rory-mcilroy.html

たったひとつの調整で飛距離を56ヤード伸ばしたという話 // GolfWRX

「調整」といってもドライバーの「カチャカチャ」ではなく,アタックアングルを変え(るようにスイングを変え)たら飛距離が伸びた,という話です。


GolfWRX "How I hit drives 56 yards farther with one adjustment"

http://www.golfwrx.com/289913/how-i-hit-drives-56-yards-farther-with-one-adjustment/

(拙訳&抄訳)
多くのアベレージゴルファーは,ボールの打ち出し条件(初速,スピン量,打ち出し角)を最適化していないがために,飛距離を大きく損している。アベレージゴルファーのアタック・アングルの平均は,マイナス5度だ。


アタック・アングル(angle of attack)とは何か?


アタック・アングル(Angle of attack, AOA)とは,要するにクラブヘッドの起動がアッパーかレベルかダウンかを測るもの。これとクラブのロフト角の組み合わせで,ボールの打ち出し角とスピン量が決まる。


上の図は,プラスのアタック・アングルを示している(つまりはアッパースイング)。


マイナスのアタック・アングル


アマチュア平均であるマイナス5度のアタック・アングルだと,結果はこうなる。


赤い丸は,アタック・アングルが平均でマイナス5.2度であることを示している。青い丸は,キャリーが216.5ヤードであることを示している。総飛距離は257.7ヤードだった。


プラスのアタック・アングル


次に,セットアップを少しだけ変え(このやり方はあとで述べる),アタック・アングルがプラス5度になるようにした。結果は以下の通り。


この通り,平均アタック・アングルは5.8度となり,キャリーは262.4ヤードに伸び,総飛距離は288.6ヤードに伸びた。スイングスピードは少し落ちたにもかかわらず。(クラブヘッドスピードの平均が100.9mphだから,だいたい45m/sでしょう)


極端なアタック・アングル


さらにアタック・アングルを増やしてみた。


アタック・アングルは8.1度,これはドラコン選手のような数値だ。最後のショットでは11.4度のアタック・アングルになっている。スピン量はさらに少し落ち,打ち出し角は16度になった。キャリーは272.4ヤードになり,総飛距離は295.5ヤードになった。クラブヘッドスピードが101mphぐらいで総飛距離が300ヤードを超えたものもあった。


どうやったか


アタック・アングルを増やすための具体的な方法を知りたい方のためのHow-toは以下の通り。

  • 背骨をもう少し右に傾け,頭がよりボールの後ろに来るようにする。
  • アドレス時に左肩が右肩よりもだいぶ高くなるようにする。
  • よりインサイド・アウトでスイングしているようにイメージする。アドレスで肩を少しクローズドにする。これにより,スイングの最下点がボールより離れ,結果としてアタック・アングルが増える。複雑な説明は省くが,スイングしている感覚ではクラブヘッドが右に抜けていく感覚がありながら,実際の軌道はスクエアになっている。
  • インパクト後に両手が上向きに動いているかのように感じること。理想的には,これは左肩がインパクト後に上にあがることで行なわれるべきだが,実際にはいくつかのすばらしいボールストライカー(例えば元ドラコン王者のジェイミー・サドロウスキー)は,インパクトにかけて左ひじが少し曲がるかたちでこれを実現している。
  • インパクトでボールの南半球を見ること。これでいわゆる頭が「ビハインド・ザ・ボール」になる。

注意点として,アタック・アングルがより増えるにつれて,それに合わせてティーを高くする必要が出てくる。これが,ドラコン王者たちのティーがかなり高い理由。

25 Mar 2015

本 // Tom Doak "The Confidential Guide To Golf Courses" // ゴルフコースに対する純粋で率直な批評を読みたいなら

個人的な経験を語るならば,『ゴルフコース好奇心―ANALYSIS OF A GOLF COURSE』でコース設計の基礎を知るとともにマサ・ニシジマ氏の名前を憶え,その流れで Tom Doak の名前に出くわすとともに彼が新進気鋭のゴルフコース設計家であることを知り,そしてその流れで,この『The Confidential Guide to Golf Courses』を知るにました。

これが他のゴルフコースガイドブックと圧倒的に違う点,そしてそれゆえ一読の価値があると思える点は,この本がただの「写真集」でもなければ「紹介文」を並べているだけでもなく,「よいゴルフコースとは何か」を本気で考えている人たちによる「批評」が読めるということ思うのです。Tom Doak を含む4人の共著者が,実際に自ら足を運んだことのあるコース(だけ)についてコメントをし,そして0から10までのレイティングをしている。この純粋さと熱意,そして得られるゴルフコース設計に対する知見に触れられるのは,なんともありがたいです。

以下は,この本に対するWRXのレビューです。


GolfWRX "Review: Tom Doak's Confidential Guide To Golf Courses"

http://www.golfwrx.com/268669/review-tom-doaks-confidential-guide-to-golf-courses-3/


1988年,トム・ドォークの友人たち数名は,彼が "The Confidential Guide To Golf Courses" と呼ぶ本を一瞥した。"Confidential" の文字がタイトルの中に堂々と鎮座しているものの,その友人たちはその警告は気にもとめず,そしてその研究所はいくばくかの評判を得た。

そのオリジナルの書の中で,ドォークはゴルファーたちのゲームを楽しくさせるゴルフコースにスポットライトを当て,そしてデザイン理論のクラシックな要素を提示した。ドォークはまた,設計原則の真の執行者であると彼が見なす設計者たちを特定しもした。言っておくが,このガイド本は,提灯記事などではない。
著者の言葉を借りるなら,この Confidential Guide は「 すべてのコースを自分の足で,レビューし,フリーパスを与えず,そして著名な設計家を雇うことが質の高いコースを保証するという神話を壊した」
この本はまた,ゴルフが何であって何であるのか―設計家の意図を解読した上でスキルのあるプレーヤーがプレーをすれば,地面からでも空中からでもフェアウエイとグリーンとに等しくアクセスできるゲーム―というそもそもの考えから逸脱しているコースやクリエーターを詰問している。

オリジナル Confidential Guide は,ジャック・二クラウスやトム・ファッジオ,ジョーンズ一家のような設計家からは軽蔑の目で受け止められたが,ドォークは自説を曲げることもなく,ランキングを変えることもなかった。ドォークは当時の編集者 George Peper の命令で,オリジナルの Golf Magazine ランキングシステムを始めた。Confidential Guide では,「The Doak Scale」と呼ばれる,私的なシステムが生まれた。最低点の「0」は,以下のように定義される:
あまりにうそっぽく不自然なコースで,あなたの心を汚染しかねない。どのような状況にあっても,お勧めできるコースではない。建設に当たって驚くほどの金額が費やされ,そしてきっと最初から建設されるべきではなかったコース。
最高点の「10」,ゴルフコース設計におけるナディア・コマネチの定義は,以下の通り:
ほぼ完璧。1ホールでもスキップしたら,見る価値のあるものを見逃すことになるだろう。このカテゴリーにあるすべてのコースを見ていないとしたら,ゴルフコース設計の可能性をまだ分かっていないことになる。この本を閉じて,旅行会社に電話しよう。今すぐ。
ここに至るまでに,Pete Dye や A.W. Tillinghast,Charles Blair MacDonald やその他の高名な設計家たちが行なってきたことを,トム・ドォークも行なった。バッグに荷物を積め,世界中の名コースをまわって知見を積んだ。わたしたちの多くにとって,ゴルフコースをプレーせずに歩くだけというのは想像を絶するだろう。トム・ドォークにとっては,慣れ親しんだことだった。すべてのコースをラウンドするだけの時間がなかったので,彼はしばしばウォーキングツアーを実行した。

1990年代から2000年代にかけて,ドォークのデューデリジェンスは実を結んだ。彼のファームが設計したのは,オレゴンの Bandon Dunes resort での2番目のコース(Pacific Dunes),フロリダの Streamsong Resort にある2コースのひとつ,そして ニュージーランドからスコットランド,ネブラスカの砂丘に至るまでの数多く(少なく見積もって30ほど)にのぼる。

2010年代初頭,ドォークは Confidential Guide を見直すことを決める。彼は1980年代以降多くの物事を学び,そして書くことに飢えていた。 Alister MacKenzie に関する著述とゴルフコースの設計とは,彼の過去の中でより遠くで響きあった。ドォークは3人のゴルフコース設計マニアに協力を依頼し,そして彼らは調査に出かけ,ひねりをきかせて新たな Confidential Guide を世に送り出した。


レビュー


2010年代の「the Confidential Guide to Golf Courses」は,果たしてどのようなものだろう? まず,これは全5巻のセットである。2014年9月にリリースされた第1巻は,イギリスとアイルランドのコースをカバーする。続いてはアメリカ大陸(冬),アメリカ大陸(夏),ヨーロッパ・中東およびアフリカ(EMEA),そしてアジア・オーストラリア・ニュージーランド,と続く。

第1巻は180ページ,びっしりと書き込まれた散文が連なる。ガイドするのは,4人の勇者たち(ドォーク,Golf Club Atlas ファウンダー Ran Morrissett,, Planet Golf  のファウンダー Darius Oliver,そしてマサ・ニシジマ)。この中には,Gourmet’s Choice(グルメのチョイス),Course Reviews(コース・レビュー),The Gazetteer(カテゴリー別の推奨),そして Most Wanted(著者たちのいつか行きたいコース)というユニークなセクションがある。

Gourmet's Choice


ここでは,トム・ドォークたちが友人とラウンドするときに連れて行きたい18コースを特別に取り上げている。ここにリストアップされているのは,この本の中で最高点を獲得しているコースばかりではないが,高い評価を得ているのは間違いない。これらコースは,魅惑的な設計,雰囲気,そしてしかるべき場所にしかるべき時間にしかるべき人々とともにいることの説明しがたい感動を,与えてくれる。

著者の言葉を借りれば,「私の魂を揺り動かし,尋常ならざる何かで訪れた人に報いる」。そうして選ばれたのが,アイルランドの Ballybunion,スコットランドの Old Course at St. Andrews,イングランドの Royal St. George’s,ウェールズの Pennard,北アイルランドの Royal County Down,イングランドの Mildenhall,そしてスコットランドの Askernish などだ。ドォークは,ピート・ダイに枕木バンカーを教えた Royal West Norfolk(地元の人には Brancaster として知られる)を,このように書いている:
あまりに低い位置にあるため,クラブへのエントランスの道は1日2回満潮で水浸しになる。そしてこのクラブのメンバーは,いつ出入りしていいかを知るために潮汐表を準備していなければならない。もし海面が今後50年に上昇し続けたら,Brancaster はその被害をうける最初のコースのひとつとなるだろう。
各18コースは1見開きを割かれ,ホールごとに評価を受けている。すばらしいホールには「!」マーク,世界的に見てすばらしいホールには「!!」や「!!!」,頭をかしげるホールには「?」,そして頭をかしげるホールだったが後にすばらしいホールになったものには「?!」といったマークによって。

Course Reviews



これが,この本の主題である。4人の評者は,イギリスとアイルランドにある289コースを取り上げ,それぞれを0から10で採点している。トム・ドォークが指摘しているように,その半分以上のコースについては,共著者たちはドォークとは異なる採点をしている。いずれにしろ,ディベートはいいことだ。アイルランドに Spanish Point があり,イングランドに New Zealand があり,アイルランドに Cruit ('crutch' と発音する)があるなどと,誰が知っていただろう? 4人の採点はつねに,ドォーク,Morrissett, Nishijima, Oliver の順に並んでいる。自ら見ていないコースには採点の代わりにダッシュ(ハイフン)が記されている。

一貫性を保つため,本全体にわたってトム・ドォークの語り口によって記述がされている。それは穏やかでありながら直接的なものであり,考えを表現するにあたって容赦はない。ドォークは自らの,そして他社の設計作品を批評するにあたり,何年も費やしてきた。この本は,この思考過程とビジョンを反映している。公平のために言えば,評価の低いコースに対してもいくばくかの称賛があり,一方で,最高級の評価のコース(4人とも満点をつけたただひとつのコースを含む)も批評からは逃れていない。これらの真摯な評価は,王者ですらも素通りをさせない:
二クラウスのウェブサイトは,「Gleneagles の PGA Centenary コースはこれまで設計をてがけるよう持ち込まれた中で,最上級の素材だった」という彼の言葉を紹介している。それが本当だったら,その結果は驚くほどの落胆だ。その醜いコンクリートのカートパスが,2014年のライダーカップで世界中の目にさらされるだろう。
Ganton Golf Club  に対する評価は,それが何であって何ではないかを晴らすことに取り組んでいる。ゴルフに対する愛をためすための場所をさがすすべてのゴルファーには,このような紹介は大いに役立つだろう:
Ganton は,そのロケーションとジャンルから,長年にわたって見過ごされてきたコースだ。リンクスでもなければヒースランドコースでもなく,そしてこれを「パークランドコース」と称することは,正当ではない。リンクスではないために大きな大会は開催されず,イギリスゴルフの中心からは外されている。
Confidential Guide の説明によれば,このコースにあるのは,深くて適切に配置されたバンカーであり,メモラブルなパー4ホールの数々である。非難にしろ称賛にしろ,この本を通じて率直な言葉が連なっている。

The Gazetteer


オリジナルの Golf Magazine Top 100  リストに関係を持つトム・ドォークではあるが,他者の作品を評するにあたって,彼はこの方法を好まなかった。
「“リストは過去30年にわたって,ゴルフコースに対してひどい仕打ちをしてきた。ランキングが業界の注目を集めるようになったが,ゴルフコース設計の慣習をゆがめていった」
ドォークやその他の現在の設計家の懸念は,雑誌のひとつのランキングに名を連ねるためにはオーナーやメンバーシップを必要としていることに関連している。それを本末転倒と見るかどうか,それは知識の習得よりも成績を気にする学生のケースのようにシンプルだ。

The Gazetteer は,それゆえ,ランキングなしの一覧表であり,クラブハウスやランチなども評価している。また,オンサイトのドーミーや近隣のリゾートを含む宿泊施設や,コースコンディション(自然のあるいは人の手を介したもの)も含まれる。もっとも多くの分類のカテゴリーを与えられるのはコース自身で,「もっともうねっているフェアウェイ」や「芸術的なルーティング」「ベストなバンカー名」などがある。

さらには,「もっとも動物に出くわす可能性が高い10のコース」などもある。

Most Wanted


もっとも,このガイドは世界中すべてのゴルフコースをカバーしているように見える(あるいは作られている)が,実際にはそうではない。各コントリビューターがそれぞれに 憧れを持ち,その隠された欲望を明かしている。もっとも驚きなのは,トム・ドォークがウェールズのライダーカップコースである Celtic Manor を見たいと思っているということであり,Ran Morrissett がドォークのスコットランドでの唯一の作品(the Renaissance Club)やセントアンドリュースの New Course (たった120年前に作られた)を見ていないということであり, Darius Oliver がスコットランドの Outer Hebrides にいつか行きたいと望んでいる。

これは,この巻の中でがっかりする部分かもしれない。あなたがUKとアイルランドに旅したことがある(あるいは住んでいる)としたら,このグループがいかに博識で(あるいはいかに上手くプレーし,あるいはいかに上手く旅をしたか)にすぐに気付くことになるだろう。彼らは歩き回った。これに落ち込んではいけない。彼らの経験を通じて多くのコースを味わい,自分がよくプレーするコースの特徴をこの本で語られているものと結び付けよう。もしかしたら,地元のコースが  Royal Dornoch とつながりを持っているかもしれないし(Mark Twain golf course in Elmira, New York のように), Gourmet’s Choice に載っているコースの設計者があなたのホームクラブの設計をしたかもしれない。USのクラブに比べてイギリスやアイルランドのクラブはビジターも受け入れているので,この本はあなたの旅ごころを刺激するだろう。


最後に


ゴルフコースとその設計に対する純粋で率直な意見を読むのは,ナイスなことだ(目障りに思う人もいるだろうが)。トム・ドォークは議論を求めているわけではないが,しかし率直な語りの噴出をためらいもしない。オリジナルの Confidential Guide でジャック・二クラウスの設計に辛辣な意見を浴びせたあと,ドォークと二クラウスはともに Sebonack (2013年の全米女子オープン開催地)に取り組んだ。ある人にとっては皮肉めいた面白さがあっただろう。その結果は,お互いが相手の設計家から何かをつかみ,それまでは気付かなかった何かを持ち帰った。

この新しい Confidential Guide の第1巻では,ドォークはライバルである David Kidd の Castle Course at St. Andrews にゼロのスケールを与えている。その理由を理解するのは難しいが,彼はそのスコットランド人設計家にシンパシーを表明しながら,同時に数字上ではこき下ろしている。新しいConfidential Guide の第1巻がリリースされてすぐあと,Bandon Dunes と Cabot Links の Mike Keiser は,(ドォークではなく)Kidd が Sand Valley in Wisconsin の2番目のコースを設計することを表明した。

確かに,The Confidential Guide To Golf Courses, Volume 1 における著者たちの評価は,業界内の他の設計家の多くを喜ばせないし満足させないだろう。ASCGA(American Society of Golf Course Architects)は,ソサイエティのメンバーは他の会員の作品や方法を批評してはいけないとしている。トム・ドォークは ASCGA に加わっていないため,自由に意見を表明できる。それに反対できるし反対することもあろうが,自分の立ち位置を実証するよう準備しておこう。この対話やディベートから立ち去ることを選ぶとしたら,この本のポイントを見失うことになる。

その原則や愛好家が行なうとの同じようにゴルフコース設計に気を配ることは,世界の大半のゴルファーとっては荷が重いだろう。愛好家のゴルフコースに対する熱がどれぐらいのものか,それを知りたければ,Golf Club Atlas のウェブサイトを訪れてみるとよいだろう。ドォークはこのサイトのディスカッショングループに定期的に参加している。ひとりのゴルフコース設計家が,かれの設計したコースをお金を払ってプレーしたいと思っている人びとと,オンラインでやりとりをしているのだ。

Confidential Guide To Golf Courses シリーズ全体の情報や購入については,Renaissance Golf のウェブサイトを参照のこと。

24 Mar 2015

イギリスゴルフ #36 // St Andrews Links - Old Course // ゴルフの聖地,セントアンドリュース オールドコース

1番のティーからR&Aを見る


ゴルフの聖地。ティータイムを予約したのが昨年10月で,それから5ヵ月待って,ようやくセントアンドリュースでのラウンドが実現しました。

St Andrews Links には Old Course を含めて全部で7つのコースがあります。Old Course 以外は直前でティータイムが予約できますが,Old Course は需要が多いので事前に申し込んで抽選で当選するのを願うというかたち。ただ,11月から翌3月までのローシーズンは多少余裕があるので,空き枠のある日にちに申し込めばプレーはできるんだと思います。それでも時間までは選べず,割り振られたのが7時40分というティータイムでした。

St Andrews Links は,エディンバラの北東に位置し,空港からはクルマで1時間から1時間半ぐらいの距離にあります。ここだけに限りませんが,スコットランドのカントリーサイドは風景がキレイなので,ドライブしていて気持ちがいいです。そんな風にクルマに乗って,18番ホールのグリーン近くにあるホテルに着いたのが前日夜。ライトアップされたR&Aのクラブハウスを見るのもオツでした。

夜のR&A


さて,ラウンド当日。2ボールで予約していたのですが,スタート前にコースの人に「もう2人加えて4ボールでラウンドしてもらってもいいですか?」と訊かれました。これは完全にオプションなので断っても全然かまわない,とも言われました。

左が,スタート前の待合室のような場所。トレイもあるよ


僕についてくれたキャディはわりと若めに見えたけれど,Kingsbarnsでキャディを9年やったあと,St Andrews では5年目だということでした。口数が多いわけではないですが,要所要所で必要な情報をしっかり伝えてくれます。グリーンでラインを読むときは,「僕ならxxxを狙って打つよ」と毎回言っていました。「パッティングはとにかくスピード(距離感)がまずは大事で,スピードが合っていれば3パットはしないよね。でも毎回違うコースでやっていたらそれも難しいだろうけど」とも言っていました。好きなプレーヤーは,「どういうわけか,リー・ウェストウッド」。

前の組は日本人らしき若い男性2人組だったのですが,キャディをつけずバックティーからプレーしていたので,もうここで何度もやっているのかもしれません。そのうちの一人はオレンジのニット帽から長髪が伸びてヒゲを生やしと,なんともリッキー・ファウラー風。次第にキャディも「ピンとリッキーのあいだを狙って打て」などと指示を出すようになりました。たしかに遠くからでもオレンジは目立つのと,そのリッキーがまた毎回ちょうどいいところに立っているのです。

リンクスランドでの球遊び


ところで,ウィンターシーズンは芝生の保護のため,フェアウェイからのショットはマットを敷いてそこにボールをプレースしてのショットになります。そして今年は夏に全英オープンが開催されるので,その準備のためにグリーンの多くがGURになっていました。できるだけ壁を傷つけないようにということだそうです。そしてラフの部分もGUR扱いにして,大会までに草を伸ばすとのことでした。ちなみに,フェアウェイの芝とラフの芝はまったく同じで,刈ればフェアウェイ,伸ばせばそのままラフになるんだそうです。

以下は印象に残ったホールについて。ほぼすべてのホールがそうではありますが。そして,先回って書くと,天気が穏やかでありさえすれば,ボギープレーヤーが(やるべきことをしっかりやれば)多くのホールでボギーを取るのは難しくはないと思うのですが,罠にハマるとか,やれることよりやりたいことを優先すると,大きくスコアを崩してしまうのが,このコースの難しいところだと思います。僕がラウンドした日はクラブでいうと1番手から2番手ぐらいの風の強さ(基本的にはアウトで向かい風,インで追い風)でしたが,もっと強い風だと難易度が格段に増すんでしょうね。

1番のティーからフェアウェイを見る


1番のティーショットはさほど緊張せずに打てました。1番は左の18番とフェアウェイを共有しているので,左が広く使えるから,左を向いて打ちさえすればスライサーでも間違いなくフェアウェイをとらえられるからです。フェアウェイを共有しているのは1番と18番に限らないのですが,ということで,この日の数字上のフェアウェイキープ率は68.8%。2打目はしょぼいトップ球だったものの3打目クリーク越えのウェッジショットをしっかり打てて,2パットでパー。

2番ホールのティーショットを打ち終えてフェアウェイを歩いて感じたのは,フェアウェイのうねりが思ったより大きいということでした。WGTのゲームをやりこんでいたので把握はしていたのですが,特にグリーンのうねりが想像以上でした。2打目は24度ハイブリッドのショットをフェードで打って距離がピッタリだったのに,そこから3パットして惜しくもボギー。

2番のグリーンを右から


3番はフェアウェイ右のバンカーに入るものの,さくっと1回で出して,2パットのボギー。ここはティーからの光景がやはり想像以上で,モワモワっとしたラフを越えてフェアウェイを狙っていくのは,これぞリンクスゴルフという気が個人的にはしています。ラフが景観を作るというのはイギリスのゴルフ場にはよくあって,このへんは,ティー前にウォーターハザードを置きがちな日本のコース設計とはぜんぜん違うものがあります。

左手前がゴースです


4番はティーショットがミスでラフ,そこからの2打目が引っかかってフェアウェイ左のSutherlandバンカーに入り,なんとここから出すのに5打もかかってしまったという失態。『風の大地』の河内じゃないですが,こういうときってほんとに頭の中が真っ白になりますね。

5番は最初のパー5。ここも1打目の落とし所は広いので,キャディの指示に従って打てば問題ないですが,2打目のランディングエリアにバンカー,その先のグリーン手前がスウェイルになっているので,これをどうするんだって話になりますね。グリーンはバカでかくて奥行きが50ヤードとかあるから,アプローチショットは高い球でしっかり止めたいところです。

リンクスならではの味わい


7番はウィンターシーズンということもあってティーがだいぶ前に出されていました。これで難易度もぐっと下がっていると思います。巨大はShellバンカーが印象的で,ここに入れないようなティーショットでの番手の選択が大事なのでしょう。この日は向かい風もあって「190ヤードのクラブで」というのがキャディの指示でした。普通のレギュラーティーならこのバンカーまで284ヤードなので,かなりティーが前に出ていたことになります。あと,ここは11番とグリーンを共用している上にプレーラインが交差しているので,キャディがいないと気をつけないといけないですね。

7番のShellバンカー


8番は最初のパー3。グリーン左手前のバンカーはなんてことのない印象をゲームで持っていましたが,実際にはけっこうアゴが高いので,これも右から安全にいくのが無難。ここで進行方向が変わるので,7番まで向かい風だったものがここでは追い風に変わりました。

9番はショートパー4。追い風なら1オンも可能で,飛距離のない僕もいちばんの当たりのティーショットでグリーン手前までボールを運べました。しかしここから寄らず入らず3パットのボギーとは,なんとも情けない。

ハーフが終わったところでトイレに行って飲み物を買って,折り返し。イギリスのコースは途中でトイレのないところが多いので,さすが St Andrews は観光地化されていると思いました。

10番は,9番の人たちを右手に見ながらのプレー。9番と10番はこのコースで唯一右に外していいホールになるので,スライサーも安心。

11番パー3。手前にちょこんとあるStrathバンカーが難しくしているのはもちろんのこと,グリーン奥の傾斜が急で窪みも深く,これも風とピン位置によっては2ショットでグリーンを狙った方が結果的にはいいのではないか思います。キャディも「ここは“世界でいちばん短いパー5ホール”って言われているよ」と教えてくれました。

折り返すと遠くにセントアンドリュースの街が見える


12番パー4は,フェアウェイ途中にあるバンカーがティーショットの狙いを難しくしています。「ゲームだと飛距離のコントロールは簡単なんだけどね」とキャディと話しましたが……。ここはグリーンも厳しくて,手前と奥とに大きな傾斜があるので実質的なタテの幅はとても狭いです。距離の短いパー4ではありますが,ピンのある段にアプローチが打てないとパーもおぼつかない。僕は手前下の段から最初のパットを打ちすぎて奥の傾斜を転がり落ち,けっきょく4パットしました。恐ろしや……。(というか下手なだけ)

12番のバンカーだったかな


13番パー4もティーショットの落とし所が狭いのでゲームをやっているといちばん難しく感じるのですが,実際にはボギーなら取れますよ,っていうホールですね。ストロークインデックスは11。

13番のグリーン手前から。ゲームやってるとこのラフがクセモノ


14番パー5がストロークインデックス1で,これはまずティーショットがしょぼいと2打目がレイアップになる上にアプローチショットが160ヤード以上残り,ティーショットがよくても2打目でミスするとHellバンカーの餌食になるという。これも追い風だったから良かったものの,向かい風だとそうとう精神的につらいだろうなぁと思います。ちなみにHellバンカーはGURでした

Hellバンカー

こんな感じでGURのバンカーが多かったです

16番のグリーン


17番は有名なホテル越えのティーショットになりますが,レギュラーティーからは距離的にはさほど気にならないと思います。その日のショットの調子に合わせて無理せず方向どりさえすれば,ティーショットで死ぬことはないかと。有名なRoadバンカー(あるいはトミーズ・バンカー)は,2打目付近からはそれほど目に入らないのが逆に怖いですね。とりあえず右手前から安全に攻めていけば,ボギーはしょうがなくとも大怪我にはならないんじゃないかと思います。これまたキャディが「トーナメントになると最終日はだいたいホールロケーションは左奥になるよ」と言っていました。

17番のティーショット……

,が見事にホテルに入る

Roadバンカー


18番もなんてことないつくりですけれど,グリーンに近づくにつれて難しさが増します。「死の谷」の深さも想像以上ですし,グリーンの奥と右は狭いので,ホールロケーションと風によってはかなり難しくなるんだろうなと想像できます。

18番の「死の谷」とR&Aクラブハウス


ラウンド終了直後にはこんな好天に


ラウンド終了後は,憧れのコースでプレーできた満足感でいっぱいだったけれど,こうして振り返ってみると,このコースの面白さが改めて分かるとともに,もういちど挑戦したいという気持ちになります。

スコアカード


オールドコースのルーティング


赤ティからだとパー76


5番のグリーン奥行きが85ヤードって。



最後に,オールドコースでのラウンドに備えて読んだ本を,改めてリストアップします。


アメリカ人の大学生がオールドコースのキャディとして働いた話。彼の地のキャディの生態や思考がよく分かります。(過去のブログ記事はこちら



St. Andrews: How to Play the Old Course
Desmond Muirhead Tip Anderson
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コース設計界の奇才デズモンド・ミュアヘッドと彼の地のベテランキャディが,オールドコースの戦略方法とエピソードをホールごとに語りつくします。(過去のブログ記事はこちら



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リンクスコースを紹介するエッセイ&写真集。セントアンドリュースには1章がまるまる割かれています。(過去のブログ記事はこちら


Mon 23 March 2015